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2025年4月1日、曇天の空の下――千葉県匝瑳市にあるライブハウス「ハングリー」では、日本のロックンロール史に名を刻んだバンド「COOLS」のリーダー兼ドラマーであった佐藤秀光さんのメモリアル・セレモニーが厳かに、そして熱く開催されました。

この日はCOOLSにとっても節目の年――結成50周年という大きな節目。しかしその年に、彼らの魂の中心であった佐藤秀光さんを失うという、あまりに大きな別れが訪れました。享年73歳。彼が生涯をかけて鳴らし続けた鼓動が、日本中のファンの胸に今なお響いています。

当日は、チーム ウォンテッドバイカー「秀光ゴッドファミリー」を中心に、全国から多くのバイカー仲間、音楽仲間、そしてファンたちが「俺と一緒に走ろうぜ~追悼RUN~」と銘打たれたツーリングで湾岸幕張PAに集合。そこから会場である「ハングリー」までの道のりを、まるで彼と最後のツーリングをしているかのように、雨の中ゆっくりと走りました。

その隊列の先頭には、佐藤秀光さんが生前、自らの手でカスタムしたハーレーダビッドソン・トライクが走ります。運転するのは、愛娘・シュウカさん後ろに 妻・カオリさんと。冷たい雨に打たれながらも、表情はどこか誇らしげで、そして強く、まっすぐ前を向いていました。

会場に到着すると、13時よりセレモニーがスタート。まずステージに登壇したのは、カオリさんでした。彼女が語り始めたのは、今やCOOLSの代表曲ともなっている「ミスターハーレーダビッドソン」にまつわるエピソード。

「この曲は、私と秀光との始まりの物語なんです」とカオリさんは語り出します。若かりし頃、カオリさんは両親の反対を押し切って家を飛び出し、秀光さんと共に生きることを選びました。周囲との衝突や葛藤を乗り越え、やがて彼のロックンロールとバイカー魂に触れ、心から惚れ込み、共に歩む道を決意したといいます。

「最初は反対していた両親も、彼の誠実さと真っ直ぐな生き様に心を打たれ、最後は “SO NICE な人だね” って微笑んでくれました。」

そのそして披露されたのが、「ミスターハーレーダビッドソン」。この曲がかかると、再びステージに現れたカオリさんがマイクを取り、震える声で一節を口ずさみました。

「俺のハーレーに乗ってお前と走りたい 風を切って夢を見よう ハイウェイを抜けて…」

その瞬間、会場全体がひとつになり、まるで時間が止まったかのような静けさの中に、秀光さんの魂だけが強く、熱く、生き続けていることを誰もが感じました。

言葉に、会場は涙と静かな拍手に包まれました。

そして、50周年ライブ セレモニーでは、スクリーンに秀光さんの生前のドラムプレーの映像が映し出されました。全盛期の彼が、炎のように叩き鳴らすビート。その鼓動に呼応するように、残されたCOOLSのメンバーたちがステージに立ちました。

「50年分の感謝を込めて――秀光、聞いてくれ」とボーカル一海が一言。そして始まった、COOLS結成50周年を祝う特別ライブ。秀光さんの映像と共に演奏されるそのステージは、まるで彼が今もそこにいるかのような錯覚を覚えるほどリアルで熱かった。

「彼女はダイナマイト」…代表曲が鳴り響き、会場は涙と笑顔で満ち溢れました。

「…恋するオールドレディー…」

佐藤秀光が、かつて愛を込めて書き上げたこの曲。どこか切なくて、でも温かい、哀愁と優しさに包まれたラブソング。今、その歌詞が、音が、まるで空気のように会場中に満ちていく。

村山の声は震えていた。それでも一言一言、彼はまっすぐに、噛みしめるように歌い続ける。彼の目には光るものが浮かび、それを拭うことなく、そのまま涙を頬に流しながら、ヒデミツが残した旋律を届ける。

「…あの頃のままさ 君は今も…」

そのフレーズに差しかかる頃、会場のあちこちでもすすり泣く声が聞こえ始めた。涙の中にあったのは、懐かしさ、後悔、感謝、そして…愛だった。

彼の目には、きっと今もステージの隅にドラムを叩くヒデミツの姿が映っていたのだろう。

最後の一音が消えた瞬間、村山は深く頭を垂れ、マイクを静かに下ろした。大きな拍手も、歓声もなかった。ただ、静かな、深い、敬意のこもった沈黙がそこにあった。

「ありがとう、ヒデミツ…」

その言葉はマイクを通さずとも、村山の唇からはっきりと読み取れた。そして、彼の背後のスクリーンには、笑顔でドラムを叩くヒデミツの映像が、そっと映し出されていた。

午後4時、すべてのセレモニーが終了すると、誰からともなく「ありがとう、秀光!」という声があがりました。バイクのエンジン音が再び響き始め、まるで彼に見送られるかのように、参加者たちは静かに会場を後にしました。

佐藤秀光さん――あなたが叩いたビートは、これからも僕たちの心臓を打ち続けます。 あなたの魂は、いつまでもロックンロールの風に乗って走り続けている。

どうか安らかに。
そして、またどこかのハイウェイで――一緒に走りましょう。

【晴れ伝説】佐藤秀光×田代まさし×COOLS